● なぜペットは病気になるのでしょう
犬や猫は何千年と家の外で暮らし、野を駆けずり回り、犬は大地を踏み、穴を掘り、猫は木に登り、生きた獲物の狩をし、自然の恵みをほしいままにしてきました。そして大気のエネルギーを全身で吸い込み、自然の摂理に沿って、自然の流れと同化し一体化して生活していました。
生きていく上では、当然怪我や、事故や、縄張りによる対同種間争い等の軋轢はあったにしろ、あるがままに生きていたようです。野生の動物と違い、犬や猫は古くから人とともに暮らしペットと呼ばれるようになり、諸外国では家族としての位置が認められています。しかし、現在日本のペットが家の中に多く飼われ始めたのはここ30年前ぐらいからだと思います。
特に都会では自動車の急激な増加に伴い、交通事故による怪我や骨折が増加し、またホームレス猫が増え、それにともなってウイルス性疾患が蔓延することなど、外に自由に放たれている犬や猫は、死を意味することになっていきました。そして都会では核家族化が急速に進んだ結果として、人は寂しさから、また人間関係のストレスからの解消、愛の枯渇、人々はやっと終戦を乗り越え、ゆとりのある生活が出来てきたことなどの社会的背景も加わってペットが家の中で多く飼われるようになってきたと思われます。
動物病院へ来る犬や猫は病気という状態になってから来ることが多く、診断することにより病名をつ治療に取り掛かります。人の医療と平行し獣医療もめざましく発展向上し、各大学にはCT、MRIが設置され、高度な診断技術、医療器具、薬品などが出てきています。しかし、一向に病気の量は減らず、難治性疾患が次から次へと出てくるのは何故でしょうか。今回その病気となる背景と原因について私見をのべさせていただきます。 |